どんな検査法があるの?

IPF患者さんは、病気の進行や治療の経過をチェックするために、さまざまな検査を定期的に
行う必要があります。

スパイロメトリー

スパイロメトリーは、どのくらいの量の空気を吸ってはけるか(肺活量)、どのくらいの速さではけるかなど、肺の機能を調べる検査で、病気の進行の程度や治療の経過をチェックするための重要な検査です。
IPFは病気の進行にともない、肺活量が低下するため、定期的にスパイロメトリーを行い、これまでの検査値との変化をみながら、病気の状態を把握していくことが大切です。
この検査では、安静な状態や最大限努力した状態で、息を吸ったりはいたりしてもらうため、患者さんの協力が必要になります。

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動脈血液ガス分析

血液中の酸素は、赤血球(ヘモグロビン)に結合しているものと、血液(血漿[けっしょう])に溶けているものの2つの状態で存在しています。
パルスオキシメータは、血液に酸素がどの程度、供給されているかを調べる医療機器で、酸素が結合しているヘモグロビンの割合(SpO2)を測定します。
血液に溶けている酸素の量は、採血した血液を血液ガス分析装置で分析し、酸素分圧(PaO2)を測定することでわかります。
IPFの重症度は、動脈血液ガス分析と6分間歩行検査をもとに判定しています。

パルスオキシメータ


もっと知りたい! 
SpO2とPaO2

動脈血液ガス分析は、血液(動脈血)に溶け込んでいる酸素や二酸化炭素などのガスを測定する検査で、この動脈血液ガス分析から得られる検査結果をもとにIPFの重症度が決定されます。

肺は、空気中の酸素を取り込み、体内の二酸化炭素を排出するガス交換を行っています。
呼吸により取り込まれた酸素は血液によって各組織に運ばれますが、血液中の酸素は、2つの形で存在しています。1つは赤血球中に存在するヘモグロビンと結合して運搬される「結合酸素」、もう1つは血液(血漿)に溶けている「溶存酸素」です。
呼吸の機能を知るためには、血液中に含まれるこれらのガスを分析し、ガス交換の状態を検査することが大切です。

●SpO2とPaO2のイメージ

●ガス交換の主な指標

  • ・経皮動脈血酸素飽和度(SpO2):酸素が結合しているヘモグロビンの割合をあらわします。
    SpO2の正常値は95~100%であり、加齢によって低下しますが、95%以下では低酸素血症、90%未満では呼吸不全が疑われます。
  • ・動脈血酸素分圧(PaO2):血液に溶けている酸素の量をあらわします。
    PaO2の正常値は年齢によって異なりますが、80~100Torr(トール)であり、呼吸不全患者さんでは、PaO2が60Torr以下に低下します。

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画像検査

画像検査には、簡便な胸部X線検査や、肺の断面の状態が精密にみられる高分解能CTなどがあります。
高分解能CTは、IPFの診断に必須の検査です。肺の線維化がどの部分に、どのくらいの広がりでおきているかなどがわかることから、病気の進行の程度も確認できます。

●胸部X線検査

肺の異常な影や、肺の容積や形の変化を観察します。IPFでは、X線画像上に、網状やすりガラス状の陰影が確認できます。


●高分解能CT

肺の構造や状態をより細かい断面でとらえ、精密に観察することができます。

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肺のなかの状態をみる画像検査

画像検査では、からだの外からではわからない、肺の病気や状態を画像化してみることができます。IPFの検査には、簡便な画像検査である胸部X線検査と肺の細かい観察に優れている高分解能CTがあります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、検査の目的に応じて、これらを使い分けます。

●胸部X線検査の
メリットとデメリット
メリット デメリット
  • ・簡便で、からだに受ける放射線の量が少ないため、患者さんのからだへの負担が少ない
  • ・検査費用が比較的安価
  • ・肺の全体像がみえるため、得られる情報量が多い
  • ・放射線の量は少ないものの、被曝[ひばく]を受ける
  • ・小さな病変の確認には限界がある
●高分解能CTの
メリットとデメリット
メリット デメリット
  • ・病変の輪郭や形状など、より細かな構造の観察が可能
  • ・からだに受ける放射線の量が胸部X線検査に比べて多い
  • ・胸部X線検査に比べて検査費用が高い

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血液検査

血液検査では、病気の状態を把握するために、間質性肺炎のマーカー(KL-6やSP-Dなど)を測定したり、おくすりの副作用をチェックするため、肝機能や腎機能の値を測定します。

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その他の検査

●歩行試験(6分間歩行検査)

からだを動かしている状態で、呼吸の機能を検査し、呼吸やガス交換の状態を確認します。

運動時の呼吸の機能を評価するための歩行試験

からだを動かしたときに呼吸困難があらわれる患者さんでは、安静にしているときの検査だけでは呼吸や病気の状態を把握することは困難です。そこで、からだを動かしたときの呼吸の機能を評価するために、歩行試験が行われます。歩行試験には、一定時間内に最大限努力したときの歩行距離を測る方法や、一定時間内に同じ速度で歩行したときの呼吸やガス交換の状態を調べる方法などがあります。


●肺生検

手術で胸を開くか、胸腔鏡[きょうくうきょう]という器具をからだの外から挿入して肺の一部を切り取ります。切り取った肺の組織や細胞を顕微鏡で検査し、病気の診断を確定します。

診断を確定するための肺生検

IPFの診断では、IPF以外の他の疾患ではないことを確認することが重要です。特にIPF以外の特発性間質性肺炎や、悪性腫瘍、感染症などと鑑別する必要があります。そのためには、切り取った肺の組織や細胞を顕微鏡で検査する肺生検が行われることがあります。肺生検には、胸を開いて肉眼で直接確認しながら切り取る方法や、胸の皮膚に開けた15mm程度の穴から先端に小型カメラがついた胸腔鏡[きょうくうきょう]とよばれる機器を挿入し、カメラで確認しながら切り取る方法などがあります。最近では、患者さんの負担がより少ない胸腔鏡を用いた方法が行われることが多くなっています。

●気管支肺胞洗浄[きかんしはいほうせんじょう]

肺の一部を生理食塩水で洗浄し、洗浄液を回収します。回収した洗浄液に含まれる細胞や成分を検査し、病気を診断します。